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みちのくの、いとしすぎる仏たち

東京ステーションギャラリーで開催中の「みちのくいとしい仏たち」展に行ってきました。

過去にもトーハクで「みちのくの仏像」展が開催されたことがありますが、この展示はさらに小さな民間仏を中心にセレクトしたもの。そのため誰でも知っているようなスーパースターはいませんが、仏像好きなら知っているみちのくのアイドル仏像が会場を盛り上げていました。ほとんどが江戸時代の仏像ですが、天台寺の如来立像と伝吉祥天立像がボス的な存在感を放っていました。とにかく可愛くて、せつなくて、クスッとしてしまうような朴訥とした仏さまがたくさん。キュレーションしたのが須藤弘敏さん(弘前大学名誉教授)とのことなのですがキャプションも面白くて、吹き出しそうになることも笑

セクション名からもう面白くて、特に5とか、気になりますよね笑

  1.  ホトケとカミ
  2.  山と村のカミ
  3.  笑みをたたえる
  4.  いのりのかたち 宝積寺六観音像
  5.  ブイブイいわせる
  6.  やさしくしかって
  7.  大工 右衛門四良(えもんしろう)
  8.  かわいくて かなしくて

 

各セクションごとに個人的にグッときた仏さまを紹介します。

①ホトケとカミ

岩手県:熊野神社毘沙門堂のEPMDこと尼藍婆(にらんば)毘藍婆(びらんば)コンビ。

 

写真は三熊野神社毘沙門堂HPより

2012年にみちのく見仏旅をしていて、その時に実物にあっているのですが、今回の複製は後ろからも見ることができたので、かわいい足の裏まで見ることが出来ました。

そしてこちらがEPMD

 

②山と村のカミ

岩手県:兄川山神社の山神像

今回の展示のジャケ写にも使用されているスーパーモデル。かなりのインパクトがある仏像です。私の東北仏のバイブル、別冊太陽の「みちのくの仏像」でも1ページ顔面アップでグラビアを飾っていた方です。まさか実物に逢えるとは!!そして思ったよりも大きかった・・・とにかく「とんでもないプロポーション」をしています笑

他の山神もリーゼントみたいな怒髪とか、エンノなのに斧持ってたりとか面白い仏像が。

③笑みをたたえる

岩手には「まいりのほとけ」と呼ばれる聖徳太子を信仰する民間信仰があるのですが、笑ってる聖徳太子像ってなかなか見ないですよね。マジでめちゃ笑ってる太子もいました笑あと何故か鼻が高い太子も多かったな〜。

④いのりのかたち 宝積寺六観音像

こちらも「みちのくの仏像」で見ていて、1度お会いしたいと思っていたメンバー。「みちのくの仏像」では見開き2ページぶち抜きで登場していた方たちで、みちのく民間仏の頂点と言われています。手が2本しかないのに「千手観音」、鳥帽子姿なのに「馬頭観音」、顔が一つしかないのに「十一面観音」とめちゃくちゃ笑 適当なのかと思うけど、衣のデザインにはすごいこだわっているのもなんか面白い。しかも一木造りという・・本当に不思議な仏像でした。

 

⑤ブイブイいわせる

お待ちかね?のこちらは明王・天ゾーン。しかし、不動明王も毘沙門天もまっったく怖くありません笑 持っている剣がしゃもじに見えるくらい優しい不動明王さまも。急にダルマがいて、なんだこれと思ってキャプション読んだら「なんだこれと思ったことでしょう」って書いてあって笑いました。

⑥やさしくしかって

黒石寺:十王像

この方も2012年のみちのく見仏旅で黒石寺に行った時に強烈なインパクトがあって写真を撮ってブログにも書いていた閻魔!12年ぶりの再会でした。お堂で見たときはここまで柄がはっきりは見えなかったので、十王ずがカエデとかイチョウとか、こんなに可愛い柄の服着てたのか!このコーナーはセレクトするのも楽しかっただろうなと思うほど、個性豊かな十王像がたくさんでした。

 

⑦大工 右衛門四良

こちらも「みちのくの仏像」に載っていたのですが、こんなに沢山見ることができるとは!東北の円空というか、ただの大工らしいのですが、右衛門四良が残した仏像が沢山あり、ちゃんと残っているというところに信仰心を感じます。光背があるエンノとか、柄物の衣着てる十一面観音とか、かわいすぎる〜とにこにこしながら見ていたのですが、揺れるようになっているというごめんなさいを繰り返す童子像は、切実な思いが胸に迫ってきて目頭が熱くなってしまいました。

今年に入り、地震やら何やらでかみさまほとけさまに祈ることしか出来ませんが人間の恐怖心と信仰心はいつの時代も変わらないんだなと思ったのでした。

今年は中尊寺展もあるので楽しみですね!